追放
7 作品(小説7件)
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偽聖女として追放されたので、隣国で薬屋を始めました 第三話 しろ苔
石臼ができた日、街道の行商サシャが荷車を引いてやってくる。口が回る。値段に細かい。しろ苔、一袋三十。ミアは「はい」と言いかけて、ネイの顔を思い出す。仕入れ値を考えろ、とサシャは笑った。値切られる側に回ったら、最初の値に何を入れておくか。咳の止まらない行商人に、ミアは新しい臼で最初の薬を挽く。

追放された毒見料理人、辺境で屋台を始めたら国が動いた件 第四話 塩
雪の前に、塩の値が三倍に跳ねた。南の湖から荷車が来ない、と街でただ一軒の塩屋は言う。隣の棚には、元の値のままの真っ白な塩。屋台の塩壺が空になり、リゼは干し肉を拭った塩を煎って汁をつなぐ。二日目、籠の女が割れた手を見せに来た。白い塩で漬けた蕪は、舌の先で苦かった。にがりの苦さではない。ダンと二人で、市場の真ん中に皿を二枚並べる。

偽聖女として追放されたので、隣国で薬屋を始めました 第二話 鉄葉の湿布
借りた釘抜きを返しに、朝のうちに鍛冶場へ行く。片腕の鍛冶屋ネイは、動かない左腕を「痛くない」と言う。嘘だ。金槌を持ち替えるとき、顔が動く。ミアは初めて「治りません」と口にする。動くようにはならない。でも、痛みは引く。鉄葉を砕いて、煮出して、熱いうちに布に広げる。そして宿の主ボルグが、約束どおり、値段の付け方を教え始める。

追放された毒見料理人、辺境で屋台を始めたら国が動いた件 第三話 干し肉
冬支度の季節に、宿が傷んだ肉を掴まされた。マーサは五十二年この街にいて、肉の目利きには自信がある。それでも掴まされた。軽薄な行商人ピートが荷を担いで現れ、仕入れの筋を割ってみせる。リゼは塩と煙で肉を立て直す。そしてピートが、王都で聞いた噂を一つ落としていく。舌の利く女を探している奴がいる、と。

追放された毒見料理人、辺境で屋台を始めたら国が動いた件 第二話 黒パン
朝、衛兵隊長ダンとともに東の製粉所へ。主のゲルトは「袋の数は合っている」と言う。数は合っている。中身が違うだけだ。四十年石臼を回してきた老ハンスが、初めて主に逆らって麦だけを挽き、リゼは混ぜ物の無い粉で黒パンを焼く。街の人が、皿の底ではなく、パンの味で嘘を知る日。夜、月に一度の荷馬車は、来なかった。

偽聖女として追放されたので、隣国で薬屋を始めました 第一話 熱冷ましの根
聖女の力が無いと暴かれ、ミアは国境の外へ押し出された。もともと彼女がやっていたのは祈りではなく、祖母の手帳に書かれた薬の調合だった。三日歩いて着いた寂れた街で、宿の主が熱を出して寝込んでいる。道端に灰根が生えている。ここは王国の外で、薬は罪ではない。

追放された毒見料理人、辺境で屋台を始めたら国が動いた件 第一話 スープ
王の食卓に盛られた毒を防いだのに、毒を盛ったと濡れ衣を着せられ、王宮の試膳官リゼは辺境へ追放された。持ち物は包丁一本と塩の小袋、銅貨が八枚。銅貨三枚でたどり着いた街道の街グレンモアで、宿の女主人から鍋を借りて始めた屋台の一杯目が、この街の黒パンに混ざった「嘘」を見抜く。舌で嘘が分かる料理人の、成り上がりが始まる。