長編
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十八の朝に前世を思い出した測量士は、動く大地に百年の線を引く 第二話 地図は嘘をつく
十八の誕生日の翌朝、ノアと師匠オルドは岩壁の裾に三本の杭を打つ。答えが出るのは一年後だ。待てないノアは、前世で毎日使っていた三角で、谷を歩かずに測ろうとする。だが基線の両端から見た向きは、方位盤の同じ目に出た。三角が、描けない。同じ日の午後、岩壁沿いの畑で、境の石をめぐって二人の百姓が言い争う。地図では、境はもっと北のはずだ、と。オルドは、正しい線を引かなかった。

十八の朝に前世を思い出した測量士は、動く大地に百年の線を引く 第一話 誤差
大地が年に数歩ずつ動く世界で、測量士は毎年、国境と道と井戸の位置を測り直す。ハルの谷の見習いノアは、十八の誕生日の朝に前世を思い出した。現代日本の測量技師として六十年生き、生まれた町から一度も出なかった男の記憶だった。その日の午後、ノアは師匠に測り間違いを叱られる。だが間違っていたのは、ノアの数字ではなかった。