連載記録
連載記録 ― 各話の要約と、増えた設定
『追放された毒見料理人』の公開した話の要約(300字)と、書いているうちに増えた設定、次話への引き。次の話は設計書とここの直前の話だけを読んで書く。読んだ話の中身と、次の話の引きが書いてある。
この先は、まだ公開していない話の筋が書いてあります。小説を先に読む方は開かないでください。開いて読む
公開した話の中身と、次の話の引きが書いてあります。
次の話を書くときは、この棚の設計書と、ここの直前の話だけを読む。
第1話 スープ(2026-09-16 公開)
要約(300字) 王宮の試膳官リゼ・アルデン(31)は、王の食卓の毒を防いだのに「毒を盛った」として裏門から追放される。持ち物は包丁・塩の小袋・銅貨八枚(下働きの若い男が届けた)。街道を五日歩き、茶屋の黒パンが「じゃりじゃり」することに気づきながら、東の街グレンモアへ。銅貨三枚で宿「二頭の牛亭」へ。女主人マーサ(52)は料理番が辞めたばかりで、リゼが三日煮た骨と腐りかけの蕪でスープを作ると「王宮の人間だね」と見抜き、「場所代は皿で払いな」と屋台を貸す。翌朝の屋台。最初の客は衛兵隊長ダン・ヴェルナー(35)。リゼは街の黒パンの粉に白土が一〜二割混ざっていると舌で見抜き、パンと粉袋を水に溶いて皿の底に沈む白い層を見せる。通りに人が集まり、スープは十一杯で売り切れ。夕方、製粉所で四十年石臼を回す老人ハンスが来て、三年前から王都の男の指示で白土を混ぜている、袋の数だけ合えばいいと言われた、と証言。男の襟の紋は三つの環——リゼを追放した宰相府の紋。ダンは夜に来て「明日、製粉所に行く。舌が要る」。リゼは粉袋の粉を舐め、土の味を覚える。
増えた設定・決まったこと
- リゼの追放の日の記憶: 鶉の煮込みに苦い杏の種のような一筋の味。皿を下げさせ、王は食べなかった。半刻後に「毒を盛った者」として連行。読み上げた男の襟に三つの環の紋(宰相府)
- 王宮の試膳官は二人だけ
- グレンモア: 街道の東端、宿の看板は絵(牛・鹿・酒樽・鍵)。宿「二頭の牛亭」(マーサ)。東の製粉所(主ゲルト、甥が混ぜる、職人ハンス)。パン屋の息子(粉だらけの前掛け・28歳前後、名前未定)
- 白土は月に一度、夜に荷馬車で、麦の袋と同じ袋で来る。三年前から。王都へ納める軍用粉と街の粉に分かれた
- 皿の底に沈む白い層=混ぜ物の見せ方。「食べてから言って」が口癖
- 屋台: 樽に板、鍋一つ、椀五つ。銅貨一枚でスープとパン。初日十一杯、売上十六枚、マーサに六枚返し、十枚は鶏代として預けた
- リゼは「土は粉より重いので、重さで分けられるかもしれない(箕か水)。まだ分からない」と言った。第2話でやってみる
- ダンは毎朝同じ時間に同じ道を見回る。夜も見回る
次話への引き 翌朝、ダンと製粉所へ。ゲルトに皿の底を見せる。ハンスが石臼の前に立つ。混ぜ物の無い粉で黒パンを焼く。
第2話 黒パン(2026-09-23 公開)
要約(300字) 夜明け前、リゼは土入りの粉を舐めて味を覚える。ダンと東の製粉所へ。主ゲルト(粉をかぶった太った男)は「袋の数は合っている」と帳面を叩く。帳面には袋の数しか無い。リゼは粉の皿と、ハンスが差し出した挽く前の麦の皿を並べて水を張る。粉の皿の底にだけ白い層。ダンが土入りのパンをゲルトの前に置き「食え」。ゲルトの手は伸びない。四十年石臼を回したハンスが、初めて主に逆らい、麦だけを挽く。リゼはマーサの宿の窯で、宿のパン種を使って黒パンを焼く。ダン「……うまい」。マーサは五十二年じゃりじゃりするのがパンだと思っていた。パン屋の息子は自分の粉も同じだと知り、三年、自分の焼き方のせいだと思っていたと言う。午後、パン二十三個が売れる。ハンスが麦の袋を一つ持ってくる。夜、箕と水で土を分けてみる(分けられるが、粉には戻らない。手間がかかるから誰もやらない、と混ぜた側は踏んでいた)。ダン「荷馬車は来なかった」。ゲルトの甥が昼に馬で西へ。ゲルトは王都の男の名を言わない。
増えた設定・決まったこと
- 製粉所: 川から引いた水路で石の水車。石臼は二つ。麦の袋(挽く前)は壁際。帳面は袋の数だけ(伏線14回収)
- ゲルト: 粉をかぶって膨らんで見える太った男。眉も髭も白い。目は黒く小さい。領主の館にも粉を納めている。甥は二十歳過ぎ、同じ小さな目、袋を担ぐことしか知らない
- ハンスは製粉所の先代(ゲルトの父)の代から四十年。今日が一度目の逆らい。挽きながら三年ぶりに麦の粉のにおいがした
- 試膳官は粉の来歴を確かめるため、年に一度、王都の製粉所へ行く(新規設定)
- マーサの宿: 裏に石積みの古い窯(母の代から)。厨房の奥の壺にパン種(前の料理番の生地をマーサが継いできた)。裏に小さい石臼
- 混ぜ物の見せ方の二つ目: 麦の皿と粉の皿を並べる(麦と粉のあいだにあるのは石臼だけ)
- 土は箕では分けられない(粉も土も細かすぎる)。水では沈むが粉が水に溶けて戻らない。「分けられる。でも、パンにはできない」(伏線7回収)
- パン屋の息子: 父のパンはじゃりじゃりしなかった。自分が焼くようになって三年。名前はまだ無い。自分の粉袋をリゼに預けた。店は昼で戸を閉めた
- 荷馬車の男は「この街で生まれて三十年」
- 籠の女は明日また来る
- 銅貨: 黒パン二十三枚。ハンスの分十一枚は樽の下の壺(ハンスは受け取らなかった)。ダンが夜に三枚(別枠)。鶏代の十枚は帳場に手つかず。リゼはマーサの宿の帳面の最後の頁に自分の字で「中身」を書き始めた
- 月に一度の荷馬車の夜は、ハンスが数えていた。今夜が三年目のその夜で、来なかった(伏線5の続き)
- ゲルトは衛兵隊長より王都の男が怖い(伏線1・2の下地)
次話への引き 翌朝、混ぜ物の無い粉のパンと骨のスープ。ゲルトの甥が王都へ走った。第3話「干し肉」: 冬支度、傷んだ肉、ピート登場、「舌の利く女を探している奴がいる」。
第3話 干し肉(2026-09-30 公開)
要約(300字) 去年より十日早い冷え込み。麓から来た荷車が豚三頭ぶんの半身六つを運んでくるが、リゼは一つが三日経っていることを匂いと脂の色で見抜く。男は「十年入れてる」と言い張るが、マーサが問題の半身を引きずり下ろし、「これは置いていきな。そのぶんを引いて、二頭ぶんの銅貨で買う」と決める。リゼは捨てるはずだったその半身を三十二本の帯に切り、塩に埋めて一晩置き、翌日から夜だけ三晩燻し、そのあと陰干し四日。ハンスが吊るす横木を持ってきて、ゲルトの甥が王都から戻らないことを一言だけ言う。行商のピートが現れ、干し肉を六本、一本三枚で買う(マーサが二枚引いて十六枚)。ピートは王都で二十枚になると言うが、リゼは「六枚で売ってください。高いと、次が無いので」と譲らない。別れ際、ピートが王都の噂を置いていく――舌の利く女を探している男が、酒場三軒で同じことを訊いていた。リゼは物置で干し肉に手を触れ、十日前のあの日の皿を思い出す。
増えた設定・決まったこと
- 豚の半身は指二本ぶんの厚さの帯に切って三十二本。出汁用の半乾きで、そのままかじるには硬い(保存食としての過大な主張はしない)
- 塩は樽の三分の一を使った。塩は流さず布で拭う。にがりの苦みは取れないが肉には合う(第4話の偽塩=石灰の苦みとは舌の当たる場所が違う、と分けてある)
- 燻しは夜だけ三晩、そのあと陰干し四日。昼は日が当たって表だけ乾く
- 屋台の汁は骨と豆。蕪はマーサが冬に取っておくと言ったので替えた
- ハンスは二日に一度、挽きたての麦を袋で置いていくようになった
- ゲルトの甥は王都から戻らない。粉はハンスが挽いている(伏線5の継続)
- ピート(行商): 軽薄、口が回る、情報が早い。背負子に空の鳥籠。「次は雪の前だ」
- 籠の女は第2話の予告どおり来た。籠に蕪を三つ入れて置いていった
- 屋台の売上: 十四杯=銅貨十四枚。干し肉六本=十六枚
- 三つの環(宰相府の紋)は第3話では出さない。 噂だけで止めてある。襟の紋の照合は第7話(視察の役人)でやる
- リゼの追放からの経過は十日足らず。年単位の回想を書かない
次話への引き 王都で舌の利く女を探している者がいる。リゼは帳面の最後にそれを書いた。第4話は塩(密売の塩と偽塩)。
第4話 塩(2026-10-08 公開)
要約(300字) ピートが発って五日。屋台の塩壺が空になる。宿の樽は冬の分で、屋台の材料は屋台の銅貨で買う決まり。街でただ一軒の塩屋コンラートは「湖の荷車が峠で止まっている」と湖の塩を六枚→十八枚に上げ、隣に元値六枚の真っ白な「西の塩」を並べる。味見は「買ってから」と断られる。リゼは干し肉を拭った塩を煎って汁をつなぐ(十三杯、十五杯)。二日目、籠の女が白い塩で蕪を漬けた手の割れを見せに来る。蕪を噛むと舌の先に乾いたえぐい苦み――石灰。その奥に、舌の真ん中に針の先ほどの、もう一つの苦み。分けられない。夜、ダンは隊の飯番が白い塩を買ったと聞いて止め、南の門の番所の写しを出す。湖の塩八樽は十二日前にコンラートの蔵に入っていた。翌朝、市場で皿を二枚、四半刻。白い塩の皿の底に白い粉。ダンが九袋を押収、売れた分の回収と返金を命じ、写しを読み上げる。マーサが宿三軒の「組合」とピートの荷車ではったりをかけ、値は六枚に戻る。夜、リゼは帳面に「苦み、もう一つ。まだ、分けられない」と書く。
増えた設定・決まったこと
- コンラート: 街でただ一軒の塩屋。背が低く腹が出ている。白い前掛け、指が太く爪の間まで白い。困った顔が似合う。「売り物を舐めるなら、買ってから」。宿「鍵」とは縁続き
- 塩の値: 南の湖の塩、ひと袋 銅貨六枚(平年)。今回一時十八枚、六枚に戻った。値札は絵(袋の絵と銅貨の絵の数)
- 南の湖の塩の荷車は毎年雪の十日前に来る。今年は十二日前(第4話の二日目の夜の時点)に八樽来ていた。南の門に番所があり、通る荷を帳面に付けて通行の税を取る
- 市場の決まり: 混ぜ物の品は衛兵が取り上げてよい。値は売り手が決める(高いだけなら罪ではない)。製粉所の粉は領主の館の納め物なので市場の決まりの外
- 偽塩: 石灰(焼いた石灰の粉)混じりの白い塩。舌の先に張りつく乾いた、渋い、えぐい苦み。肌を荒らす。水に入れると白く濁り、四半刻で皿の底に白い粉が平らに沈む(湖の塩は小石が数粒沈むだけ)。押収九袋は南の門の番所に保管。誰から買ったかは番所で訊く(未回答)。売れた分は回収、代金はコンラートが返す
- もう一つの苦み(伏線16): 石灰の苦みが引いたあと、舌の真ん中に針の先ほど、一瞬。にがりとも石灰とも場所が違う。王宮で舐めた苦みのどれとも重ならない。杏の種の「一筋」とは書き分けてある。リゼは皿の底の沈みを乾かして布に包み、ハンスの壺の横に置いた
- 煎り塩: 干し肉の塩を拭った壺の塩(酸いにおい)を平鍋で煎ると、焼いた脂の香りの塩になる。三日分
- 宿は四軒(二頭の牛・鹿・酒樽・鍵)。マーサが鹿と酒樽に声をかけて「組合」と呼んだ。ピートが麓の荷車を回すというのははったり
- ダンは衛兵隊の冬の塩をコンラートから買わないと言った
- 干し肉: 屋台の汁に四本(一本四人ぶん)。残り二十二本
- 屋台: 一日目十三杯、二日目十五杯、三日目十六杯。塩代は屋台の銅貨から(白い塩の検め用ひと袋六枚、湖の塩ひと袋六枚)
- 籠の女: 蕪を四十年漬けている。手が割れた。湖の塩で漬け直す
次話への引き 塩の値は戻った。舌の真ん中の苦みは、まだ分けられない。第5話「卵」: 屋台に行列、真似する店、パン屋の息子。