連載記録
連載記録 ― 各話の要約と、増えた設定
『ダンジョン対策課の窓口係』の公開した話の要約と、書いているうちに増えた設定、次話への引き。次の話は設計書とここの直前の話だけを読んで書く。読んだ話の中身が書いてある。
この先は、まだ公開していない話の筋が書いてあります。小説を先に読む方は開かないでください。開いて読む
公開した話の中身が書いてあります。
この棚は、次の話を書くための紙です。次の話は、企画書・世界観・登場人物・伏線表・各話プロットと、 ここの直前の話の要約だけを読んで書きます。本文そのものは読み返しません。
第1話「第一話 書式が違います」(2026-09-19 公開)
何が起きたか
朝の窓口。受付四十一件、差戻し六件。黒木は探索者・詩織の第五層入域申請を、照明の予備本数の記載漏れで差し戻し、理由を長く説明する。町内会長の地鳴りの苦情、組合の緊急連絡先が本人の番号になっていた差戻し。午後、詩織が携行食二日ぶんを書き足して再提出し、受理。夕方、その日の綴りを整理していて、黒木は第七層の申請が今週だけで十二件あることに気づく(去年の同じ週は二件)。十二人のうち十一人が第七層は初めてで、八件が九月十八日の午後六時までの退域。残る一人は、同じ課の再任用職員・武田照夫だった。課長の仁科は「流行りでしょ」と取り合わない。
増えた設定
- 探索者資格は十八歳以上(作中の法)
- 第五層から層の構造が縦に折れる。照明の予備二本で救助想定十六時間
- 面談の小部屋は課長が受け付ける
- 町内会長は三か月に一度、地鳴りの届け出に来る(三年前から)
- 武田は週三日、午後から出勤
次の話への引き
第七層の十二件のうち、九月十八日の午後六時までに退域すると書いた八件。武田の「調査」の申請。
第2話「喋らない嘱託」(2026-09-30 公開)
何が起きたか
九月十七日(木)、受付二十八件、差戻し三件。黒木は武田照夫の第七層申請を確かめる。目的欄は「調査」。様式に調査の内容を書く欄が無いので差し戻せない。新人の岸が第六層の綴りに第七層の申請を一枚混ぜ、黒木は綴じる順番(日付、層、受付番号)と、受付簿との突き合わせ、取り下げは別の箱に残すことを教える。黒木は今週の日別の綴りから第七層だけを数えて十四件を確かめ、退域予定時刻を書き写す――九月十八日午後六時が十件、十九日正午が二件、二十日午後三時が一件、そして未記入が一件。未記入は武田の分で、調査を選んだ者は「未定」と書いて面談で口頭申告する運用なのに、武田の欄は未定とも書かれていない。黒木は課長の仁科に武田の事前面談の記録が無いことを訊くが、「探しとく」とだけ返る。四時二十分、詩織が退域届の書き方を訊きに来る。黒木は到達層と残置物の欄だけ答え、詩織は第五層講習の四日目を受けていないのに修了している(駅南のビル、四階)と漏らす。黒木は手帳に書く――分からないことを、いちばんメモする。三時五十分、黒木は入域口へ行き、武田が立ち会いをしているのを見る。武田は軽口に答えず、探索者の開いたカラビナを指で示しただけだった。五時過ぎ、黒木は十二年前の様式(B5一枚、欄が五つ)と、受け付けたのが十四件で全部自分が受けたことを、武田の背中に言う。武田は「帰る」とだけ言って出ていく。黒木はキャビネットの十二年前の綴りに手をかけ、県への報告は来月だから開ける理由が無い、理由の無いものを開けると次から理由が要らなくなる、と手を離す。
増えた設定
- 嘱託の勤務は週三日、午後一時十五分〜五時十五分。武田は一時十分に来て判を押し、十五分になるまで棚の前に立っている
- 綴りは日別(第1話の綴じ方どおり)。綴じる順番は日付・層・受付番号。取り下げは棚の下から二段目・右の箱に残す
- 受付簿は番号を飛ばさずに振る。飛んでいたら取り下げか抜けのどちらかを、その場で確かめて余白に書く
- 第七層の様式は、目的欄で調査を選んだ場合に限り退域予定時刻を「未定」と書いてよい。未定と書いた者は事前面談で口頭申告する
- 退域の確認そのものは入域口で立会人が取る。退域届は事後の様式(持ち帰った素材と置いてきたもの)
- 武田の市の入域者台帳番号は東雲〇〇〇七(十二年前の十四人のうち七番目)
- 十二年前の受付簿は、法が出来る前に市が独自に取っていたもの。年に一度、県への報告でしか出さない
- 第五層講習は市が国家資格の上に足している講習。委託先は県内に三社
- 開設年の課は四人(定員六)
- 武田は入域口の立ち会いが一日一時間ある。軽口に答えない。席を立つとき、誰も見ていなくても椅子を机の下に戻す
- 黒木は手帳に「窓口 二百四十一分」を毎日つけている(伏線10)
- この課の飲み会は十二年で四回、武田は四回とも来ていない。家族の話は一度も聞いていない
次の話への引き
武田の事前面談の記録が無い。仁科の「探しとく」。九月十八日午後六時の十件。詩織が四日目を受けずに修了していること。
先の話に残したもの(第2話では書かない)
- 詩織の差戻しが毎回同じ箇所であること、その原因、黒木が三分だけ教える場面は第4話
- 仲介者と金の動機は第5話
- 岸の綴じ間違いが十二年前の綴りを引き出すのは第7話
- 武田の娘(陽菜)と、十二年前の最初の申請書は第9話・第12話
第3話「第三話 堅実な男」(2026-10-09 公開)
何が起きたか
九月十八日(金)、受付三十三件、差戻し四件。十時四十分、探索者の平井勉(ベン、35)が三年ごとの資格更新に来る。三年前も六年前も十時四十分。岸が受け、四分で受理(黒木は四分十秒と計っていた。ベンは「前はあんたが三分」)。緊急連絡先が、三年前・六年前の「平井由紀(妻)」から「東雲市探索者組合 事務局」に変わっていた。常時許可の短い様式には連絡先欄が無く、台帳の登録が書き換わるのは更新のときだけ。第五・六層の申請にはこの三年ずっと妻の名を書いていた(八月も)。岸の定型の問い「ご住所とご家族の構成に変更は」に、ベンは「住所は、同じ」とだけ答える。住所欄は一字も違わない。黒木は訊かない。ベンは「七層の連中、今日上がるんだろ」と訊き、黒木は「お答えできません」。昼、岸は前回の写しを出して比べ、違いに気づいていた。黒木「聞いて、書類が良くなるなら、聞きます」「書類に要らないことを訊くと、次から、書類に書かないことが増えます」「正しいです。続けてください」。仁科が水曜の課長会資料の裏の走り書きを持ってくる(9/16 面談済、入域18日夕6時ごろ、退域 状況を見て判断)。一時十五分、黒木は武田に空欄へ「未定」と書いてもらう。書類は正しくなり、止める理由は無くなる。五時十五分、武田は椅子を戻さずに帰る(十二年で初めて)。黒木が戻す。六時十分の入域口日報: 第七層の十人は17:31〜17:52に全員退域、持ち帰り十件とも「有」。18:04、武田が第七層へ入域、退域予定は未定、立会は夜間委託。規程の未帰還手続きの起点は「退域予定時刻の経過」で、未定の者には起点が無い。黒木は手帳に「十九日(土)正午 入域口(夜間委託)に電話 武田さんの退域を確認」と、自分で期限を置く。窓口二百二十八分。夜、黒木は四年前のベンの差戻し(第六層、同行者の資格番号の書き忘れ)の同行者の名を覚えているが、思い出さないことにする。
増えた設定
- ベン=平井勉。勉の音読み。窓口では平井さん、黒木は頭の中でベンと呼ぶ。第四層まで常時許可、第五・六層はそのつど申請。第七層には十年一度も申請していない。差戻しは十年で二度(うち一度は四年前、第六層で同行者の資格番号の書き忘れ)
- 住所は三年前と同じ(別居ではない)。妻の名を連絡先から外したのは「家族に電話を行かせたくない」の読み筋に絞ってある。第9話で、第七層で相棒を亡くしたとき、その相棒の家族に電話が行った夜を知っているから、と回収する
- 相棒: 四年前まではベンと組んで第五・六層に潜っていた。その後、ベン抜きで第七層に入り未帰還。未帰還の手続きは対策課が扱うので、黒木はその手続きを担当しており、名前も知っている。第9話は黒木にとって「発見」ではなく「つながりに気づく」話として組む
- 常時許可の入域は短い様式(緊急連絡先欄なし、資格台帳の登録を使う)。台帳の連絡先の変更は更新時のみ
- 緊急連絡先は「本人以外の個人、または所属組合」
- 更新の定型の問い(手引き三頁): 住所と家族構成の変更の有無。家族の欄は様式に無い
- 更新は、前回の申請書の写しを控えの綴りから出して並べて比べる、と手引きにある(黒木はもう何年も出していない。岸は出した)
- 入域口の立ち会い: 昼は職員が交代(武田の当番は一時間)、夕方以降は市が警備会社に委託。委託の立会人は受理印の有無だけを見る
- 入域口の日報は毎日午後六時十分に課の端末に上がる(当日の入退域、時刻順)
- 未帰還手続きの規程: 起点は「退域予定時刻を経過し、なお退域の確認が取れない場合」。未定の者には起点が無い
- 仁科の面談記録: 9/16(水)午後、面談の小部屋。第1話の黒木の推理(小部屋に直接出した)どおり
- 武田は五時十五分に椅子を戻さずに帰った(十二年で初めて)
- 窓口 二百二十八分
次の話への引き(第4話の前提)
- 2026年は9/19(土)〜9/23(水・秋分の日)が五連休(9/21 敬老の日、9/22 国民の休日)。窓口が次に開くのは9/24(木)。第4話の窓口記録は9/24以降にする
- 武田は9/19(土)の朝に退域(黒木が正午に電話で確かめる)。退域届は出していない。第4話冒頭の窓口記録の備考で一行だけ回収する(例: 「九月十九日 武田さん退域 〇七時十二分(電話で確認)。退域届、未提出」)。武田の次の出勤は9/25(金)
- 十人が連休前の金曜夕方に一斉に上がった(持ち帰り全員「有」)ことは第5話(商社・仲介者)の材料
- 第4話は詩織の差戻しが毎回同じ箇所の話(三分だけ教える)
先の話に残したもの(第3話では書かない)
- 相棒の名前と未帰還の経緯、妻の名を外した理由は第9話
- 武田が第七層で何を調査したかは書かない(第9話・第12話)