連載記録
連載記録 ― 各話の要約と、増えた設定
『悪女と呼ばれた侯爵夫人は、離縁状に判を押してから本気を出す』の公開した話の要約と、書いているうちに増えた設定、次話への引き。次の話は設計書とここの直前の話だけを読んで書く。読んだ話の中身が書いてある。
この先は、まだ公開していない話の筋が書いてあります。小説を先に読む方は開かないでください。開いて読む
公開した話の中身が書いてあります。
この棚は、次の話を書くための紙です。次の話は、企画書・世界観・登場人物・伏線表・各話プロットと、 ここの直前の話の要約と、直前の話の本文を読んで書きます(要約だけで書くと固定された場面と食い違うので、2026-09-24から本文も読む)。
第1話「第一話 判を押す」(2026-09-22 公開)
何が起きたか
秋の午後、侯爵ラウルが書斎で離縁を切り出す。長い前置きと、再婚相手リゼットの名。アデルは三百の年金を断り、家が南の林を担保に入れていることを言い当てる。「それで全部ですか」と訊いてから、懐の古い判を出し、朱肉を水で練って、離縁状に自分から押す。「すまない」「何がですか」。部屋でリゼットに会い、悪女の噂を全部「やりました」と認め、理由は言わない。書斎の右から三つ目の抽斗を見るように言い残す。鞄三つ(衣類・銀器・四十七通の証文)を自分で持って、歩いて河港へ。実家アルデール商会に入り、弟クレイと番頭ゴダールの前に証文の束を置く。
増えた設定
- 離縁状は双方の判で成立する。夫の一存では成立しない
- 婚姻中に自分の名で結んだ契約は、離縁時に持ち帰れる
- アデルの判は柘植。婚姻前から使っている
- 四十七通の内訳:麻が年に四十車、塩が樽で百二十、河港の船枠が年に九十日
- ヴェルンハイム家は三年前、南の林を担保に入れている
次の話への引き
ゴダールが十年間、帳面を送り続けていた理由。リゼットが抽斗を開けるかどうか。
第2話「第二話 十年分の帳面」(2026-10-03 公開)
何が起きたか
夜。クレイが三年分の帳面七冊を抱えて戻る(一冊に去年の秋の酒の染み)。ゴダールは油壺の代わりに黒い長持を引きずってきて、十年分の薄い帳面(春夏秋冬で一冊、ゴダールの字)を出す。アデルは十年前の冬から順に徹夜で全部読む。クレイは「手伝えることは」「ありません」で突っ伏す。ゴダールは膝に今年の帳面(紐が緩い)を開いたまま、白湯を四度足す。父が死んで一年後の頁で、塩が季に三十から二十に減り、船枠が三日流れているのを見て、指を置いて動かさない(理由は書かない)。夜明け、河港へ。アルデールの倉は錠がかかり、隙間から塩の樽が二十以上。三つ先のロシェ商会(御用達、印は鍵と波)の倉の前に、昨日の荷馬車。御者「夕べは倉が閉まってた。ロシェは日が出てからしか受けない」「若旦那に、去年から荷はロシェへ直接届けろと言われている」。束は十二=アデルの一通目と同じ量。ロシェの手代が紙を三枚書き、一枚を御者に、一枚を帳面に、一枚を組合の印の袋に。御者「ほんとに悪女なのかい」「やりました」。商会に戻り、七冊を「読んでいません」(本当)と言ったうえで、村の買値十四枚・ロシェへの売値十一枚を言い当てる。「麻は腐りません。乾いた麻は三年持つ」。借財三口=組合八百(年一割五分、季に三十、父の代から)/ロシェ千二百(無利息、代わりに麻を十一枚で卸す約束、クレイの代)/名前の無い「雑」元四百・残二百二十(去年の春から月十枚ずつ)。合計二千二百二十。倉に塩およそ百二十樽が八か月動かず、船枠は今年四十日流し、麻は年四十台が全部ロシェへ。「月に三十枚ずつ小さくしています。利息で十。麻で十。それに、雑で十」。クレイ「十年、一度も帰ってこなかった」アデル「帰りませんでした」。クレイがゴダールに「俺、姉上が怖い」。アデルは染みの一冊を初めて開き、この秋の麻が八台なのに帳面は七台、「一台は、どこへ」「雑、ですか」。クレイは答えない。アデルが帳面を閉じる(ぱたん)。微笑む(意味は書かない)。「まず、雑、を止めます」「河港で、いちばん口の悪い金貸しに会います」。担保を問われて答えず、十年前に家を出たときの黒い外套(少しきつい)を着る。「ヴィナは、まだ、河港にいますか」ゴダールが帳面を閉じる(=はい)。クレイは言われていないのに、一番古い帳面を開く。
増えた設定
- ゴダールは第2話でも一語も発しない。返事は帳面を閉じる音、または顔を上げる・窓を見る動作
- ゴダールの帳面は春夏秋冬で一冊、十年で四十冊。黒い長持に入っている。今年の分は紐が緩い。侯爵家へ送っていたものとの関係(写しか原本か)はまだ書いていない
- 先代アルデールの死は十年前の冬(アデルが嫁いだ年。侯爵家の火事と同じ冬かどうかは未決)
- 塩は最盛期で季に三十樽(年百二十)。父の死の翌年から季に二十に減った
- 乾いた麻は湿らせなければ三年持つ。父が死んだ季に、ゴダールが倉の麻を三年前の分まで数えて値をつけ直している
- ロシェ商会:河港の御用達三つのうちの一つ。印は鍵と波。倉は両開きで日が出てから受ける。クレイに千二百貸し、代わりに麻を一台十一枚で買い叩いている
- 河港の組合は商会に金を貸す(年一割五分)
- 証文三通の実務:紙を三枚同じに書き、売主・買主・組合(革の袋、組合の印)
- 「雑」:帳面に名前の無い借財と、帳面外に消える麻。第7話の素材。第2話では相手を書かない
- アデルの外套:十年前に家を出たときのもの。黒く地味。少しきつい
- 御者(名前なし):昨日の荷馬車。南の村の麻をロシェへ直接運んでいる
次の話への引き
ヴィナに会う。担保は何か(第3話でヴィナに「あんたの名前は、河港では高く売れる」と言わせる。アデルからは言わない)。「雑」の相手は誰か。
第3話「第三話 悪女の名で借りる」(2026-10-12 公開)
何が起きたか
第2話の朝の直後。河港の端、魚を干す棚の通りの突き当たり、看板の代わりに錆びた秤のヴィナの店。壁に紐で束ねた証文(赤・青=返済中、黒=返ってこなかった分)。ヴィナは干し魚をかじりながら値踏みする。「いくら」「千二百」。ロシェの千二百と麻十一枚の約束は、ロシェの手代が酒場で自慢したので河港じゅうが知っている。ヴィナは担保になるものが無い(塩は動かず、麻はロシェ、船枠は流し、建物は組合の八百の担保)から年二割と言う。アデルは担保の話をしない。黒い紐の意味を当てる。ヴィナは黒の十一年分三十七人(名前の無い三十一人は逃げ、名前のある六人は潰れ、その家名を言って回った)を語り、「あんたの名前は、河港では高く売れる」。返さなければ言って回る。担保はアデルの名前。アデルは「名前は建物より確かだということですね」と利息の引き下げを求め(「建物は燃えます。私の名前は、もう燃えるところがありません」)、一割二分・二年(季ごとに利息、元は二年目の秋に一括)。ヴィナの損得: 悪女に返させた金貸しとして名前が上がる。アデルの計算: 利息年百四十四(季三十六)、麻は相場十六でロシェとの差五×四十台=年二百、差し引き年五十六(月四枚と少し)。月三十の縮みが二十五に。まだ縮む。元の千二百は麻では返せない、返すのは別の紙(四十七通の鞄を思い浮かべる)。期限の無い借りは終わらない。証文は三枚、担保の欄は空けたまま(組合の控えに書けば河港じゅうの噂になる)。銀貨十二袋、口は赤い紐。ヴィナがただで一つ: クレイは去年の春から毎月十枚ずつ月の頭にロシェとは別の方角へ払いに行く(魚屋の婆さんが見た)、あれはヴィナの客ではない、誰かは知っている。アデルは訊かない。袋を抱えて魚の通りを歩く。ロシェで千二百を返す。年配の男(鍵と波の印)が袋の赤い紐で「……ヴィナか」。組合の者が袋を抱えてついてきて、三枚に斜線と「皆済」。今朝入った一台は借財が残っていたので十一枚のまま、明日から荷はアルデールの倉へ。「約束の外のものは、頂きません」。商会に戻り、クレイに「組合はどこの商会にも一割五分」(クレイは悪女の実家だから高く借りていると思っていた)。御者への伝言、組合の掲示で麻の相場を確かめる、来月の頭の十枚は払う前に見せる(今は、やめろとは言わない)。アデルが微笑む(意味は書かない)。ゴダールが今年の帳面に何かを書き足す。残りの借財は三口: 組合八百、ヴィナ千二百、名前の無い二百二十。
増えた設定
- ヴィナの店: 河港のいちばん端、魚を干す棚の通りの突き当たり。看板なし、戸の上に錆びた秤。帳場一つ、椅子一つ。壁の証文の束: 赤・青=返済中(紐を結び直す)、黒=返ってこなかった分(十一年で三十七人、うち名前の無い三十一人は逃げ、名前のある六人は潰れて家名を言って回られた)
- ヴィナ: 四十過ぎ、髪を後ろで乱暴に括る、袖をまくる、指に墨の染み、干し魚。字は太くて速い。口笛
- ヴィナの証文: 千二百、年一割二分、季ごとに利息三十六、元は二年目の秋に一括、一日でも遅れたら言って回る。担保の欄は空白(組合の控えにも空白)。担保は口約束で「アデルの名前」。アデル個人の名義
- ロシェの千二百は皆済(三枚に斜線と「皆済」、組合の者が立ち会う)。麻十一枚の約束は消えた。今朝の一台は十一枚のまま。明日から南の村の麻はアルデールの倉へ
- 組合の控えは組合の外へ出ない。消すときは組合の者の目の前で(第7話の前提)
- 麻の相場は一台十六枚(組合の掲示で確かめる)
- 商会の建物は組合の八百の担保
- 組合の利息はどこの商会にも一割五分
- 月の出入り(アデルの計算): 組合利息十、ヴィナ利息十二、雑十、麻(十四で買い十六で売る)で+約七 → 月およそ二十五の縮み
- 「雑」: 月の頭に払う。ロシェとは別の方角。魚屋の婆さんが見ている。ヴィナは相手を知っているが言わない
- ロシェの年配の男(名前なし、上等な上着、胸に鍵と波)。ロシェの手代に台詞が付いた(「アルデールの若旦那の分、ですか」)
- 口癖「そう聞こえたなら、そうなのでしょう」は第3話で二回
次の話への引き
元の千二百は麻では返せない。「返すのは、別の紙だ」=四十七通(第4話で塩の輸送権)。来月の頭の十枚。