辞典「モチーフ・題材」から探す物語
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この特集の作品

追放された毒見料理人、辺境で屋台を始めたら国が動いた件 第四話 塩
雪の前に、塩の値が三倍に跳ねた。南の湖から荷車が来ない、と街でただ一軒の塩屋は言う。隣の棚には、元の値のままの真っ白な塩。屋台の塩壺が空になり、リゼは干し肉を拭った塩を煎って汁をつなぐ。二日目、籠の女が割れた手を見せに来た。白い塩で漬けた蕪は、舌の先で苦かった。にがりの苦さではない。ダンと二人で、市場の真ん中に皿を二枚並べる。

十八の朝に前世を思い出した測量士は、動く大地に百年の線を引く 第二話 地図は嘘をつく
十八の誕生日の翌朝、ノアと師匠オルドは岩壁の裾に三本の杭を打つ。答えが出るのは一年後だ。待てないノアは、前世で毎日使っていた三角で、谷を歩かずに測ろうとする。だが基線の両端から見た向きは、方位盤の同じ目に出た。三角が、描けない。同じ日の午後、岩壁沿いの畑で、境の石をめぐって二人の百姓が言い争う。地図では、境はもっと北のはずだ、と。オルドは、正しい線を引かなかった。

追放された毒見料理人、辺境で屋台を始めたら国が動いた件 第三話 干し肉
冬支度の季節に、宿が傷んだ肉を掴まされた。マーサは五十二年この街にいて、肉の目利きには自信がある。それでも掴まされた。軽薄な行商人ピートが荷を担いで現れ、仕入れの筋を割ってみせる。リゼは塩と煙で肉を立て直す。そしてピートが、王都で聞いた噂を一つ落としていく。舌の利く女を探している奴がいる、と。

十八の朝に前世を思い出した測量士は、動く大地に百年の線を引く 第一話 誤差
大地が年に数歩ずつ動く世界で、測量士は毎年、国境と道と井戸の位置を測り直す。ハルの谷の見習いノアは、十八の誕生日の朝に前世を思い出した。現代日本の測量技師として六十年生き、生まれた町から一度も出なかった男の記憶だった。その日の午後、ノアは師匠に測り間違いを叱られる。だが間違っていたのは、ノアの数字ではなかった。

追放された毒見料理人、辺境で屋台を始めたら国が動いた件 第二話 黒パン
朝、衛兵隊長ダンとともに東の製粉所へ。主のゲルトは「袋の数は合っている」と言う。数は合っている。中身が違うだけだ。四十年石臼を回してきた老ハンスが、初めて主に逆らって麦だけを挽き、リゼは混ぜ物の無い粉で黒パンを焼く。街の人が、皿の底ではなく、パンの味で嘘を知る日。夜、月に一度の荷馬車は、来なかった。

追放された毒見料理人、辺境で屋台を始めたら国が動いた件 第一話 スープ
王の食卓に盛られた毒を防いだのに、毒を盛ったと濡れ衣を着せられ、王宮の試膳官リゼは辺境へ追放された。持ち物は包丁一本と塩の小袋、銅貨が八枚。銅貨三枚でたどり着いた街道の街グレンモアで、宿の女主人から鍋を借りて始めた屋台の一杯目が、この街の黒パンに混ざった「嘘」を見抜く。舌で嘘が分かる料理人の、成り上がりが始まる。
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